• TOP
  • しおりを挟む
  • 作品推薦
  • お気に入り登録
ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。

第93話【茨の森の魔法使い】

俺がアイアンシップのクエストから帰った次の日である。


スカル姉さんと朝食を食べてから装備を装着して町に出た。


いつも通りソドムタウンは賑やかだった。


俺が町を歩くとやはり人々の視線が痛い。


多くの人々がジロジロと俺を見てやがる。


やっぱり昨日のビキニアーマー&全裸闊歩事件で有名になったのだろう。


なんだかとても切なく感じますわ……。


まあ、挫けていても仕方ないから俺は強気で進む。


万が一絡まれたら容赦無く殴り付けてやるぞ!


「よー、アスラン。昨日はなんであんな格好だったんだぁ~?」


はい、絡まれました!


知らんおっさんが話しかけて来たぞ。


やたら酒臭いし顔面真っ赤だな。


えぃ!


「ぐはっ!?」


俺はおっさんの隙をついて延髄に空手チョップをぶち込んでやった。


おっさんは白目をむいて力無く倒れたから、近くの壁に寄り掛けて置いた。


これで良し!


周りで大勢の人が見ていたけれど、まあしゃあないかな。


俺は何事も無かったかのように去って行く。


俺はしばらくしてソドムタウンの正門に到着した。


昨日は外でランドワームと激しい戦いを繰り広げた場所だ。


やはり俺の牛たちは一匹も居ない。


何処に行ったかは、大体分かった。


すげー良い匂いが、あちらこちらから漂って来る。


周りにやたらと牛肉を焼いている露店が多いのだ。


いつもならこんなに牛肉を焼いている店は無いはずだ。


俺がグルリと見回すと、牛肉を焼いている店のオヤジどもが、全員露骨に視線を逸らす。


まあ、咎め無い。


牛たちを美味しくしてくれたのだ。


それだけは感謝しよう。


俺は一軒の露店に立ち寄る。


焼いている牛肉を指差して言ってやった。


「一つ無料で頂いていいよね」


「えっ……」


「無料で頂くよ!」


「は、はい、どうぞ……」


俺は良く焼けた牛肉を口に頬張ると正門前を離れた。


畜生、牛肉がうめーなー!


これで許してやるよ!


次に魔法使いギルドに立ち寄って、木馬の置物とワインを作る水筒を売り付ける。


二つで2500Gになった。


正直なところ、アイアンシップの依頼料より高いんだけど。


やっぱりマジックアイテム販売のほうが金になるな。


よし、続いては冒険者ギルドに向かおうかな。


そして直ぐに冒険者ギルドに辿り着く。


俺は酒場を抜けて二階に上がった。


受付嬢……、否、受付七つ子お兄さんに仕事完了を告げて報酬を頂くと、俺はギルマスの部屋
に通された。


部屋に入ってまずはパンダの剥製に挨拶を交わすとマホガニーの机で仕事に励んでいたギルガ
メッシュに挨拶を交わす。


ギルガメッシュが書類から目を離さずに言う。


「なんでお前は俺より先にパンダと挨拶を交わした?」


「いや、ギルマスが仕事で忙しそうだったからさ」


「じゃあ、もう一つ訊く」


「なんだ?」


「なんで昨日、お前は全裸&ビキニアーマー事件を起こした?」


「それは訊くな。俺にもいろいろな事情が有るんだ……」


これで納得してくれるかな?


「そうか」


納得したぞ!


書類を机に置いたギルガメッシュが立ち上がる。


それからソファーセットに場所を変えた。


俺もギルマスの向かえに座る。


「それでアイアンシップの討伐は終わったんだな?」


「三匹のオークに逃げられたがな」


「まあ、三匹だけならいいか」


「強奪されていた荷物はアイアンシップに残してあるから、あとは勝手に回収してくれ」


「それは商人ギルドに任せるからいいだろう。では、早速次の仕事だ」


ギルガメッシュはテーブルに一枚の羊皮紙を置いた。


俺のほうに差し出す。


俺は羊皮紙を手に取ると内容を眺めた。


次はどんな仕事だろう。


ワクワクするぜ。


次の仕事は茨の森の魔法使いからの依頼だった。


依頼料は1500Gだ。


なかなか高い依頼料だな。


しかし仕事の内容が掛かれていない。


「これはどんな仕事だい?」


「分からん。ただ腕の立つ冒険者をよこせと手紙にあった」


「内容が分からないと?」


「そうだ。相手からは使い魔を使って手紙が届けられたが、こちらから向こうさんに連絡はつ
けられない。直接聞きに行くしかないんだ」


「じゃあ、俺にどうしろと?」


「とりあえず話を魔法使いに訊いてきてもらいたい。もしも話を訊いてお前一人で出来る仕事
なら、勝手に片付けてもらって構わないがな」


んー。


まあ、話を聞くだけ聞いてくるかな。


「話を聞くだけの依頼料は?」


「そうだな、掛かる日数からして20Gかな」


安いな~。


まあ、魔法使いが住んでる茨の森まで往復で二日ぐらいだから妥当かな。


「分かった、早速旅立つぜ」


「頼んだぞ、アスラン」


「ああ、分かったよ」


「ところでアスラン」


「なんだい?」


「なんでタメ口なんだ?」


「駄目かな?」


「構わん」


そう述べるとギルガメッシュはマホガニーの机に戻って仕事を再開させる。


俺はパンダの剥製と握手を交わすと部屋を出た。


本当に可愛いヤツよの~。


それから酒場のカウンター席で受け取った羊皮紙を眺めた。


ハンスさんが気を使ってお茶を出してくれる。


温かいお茶だった。有難い。


今回の依頼の目的地は茨の森に在る魔法使いの塔だ。


魔法使いの名前はトリンドル。


なんだかヘンテコな名前だな。


何者だろう?


俺はバーテンダーのハンスさんに訊いてみた。


「トリンドルって魔法使いを知ってますか?」


「知らないね~」


冒険者ギルドの酒場で長年働いているハンスさんですら知らない魔法使いか……。


とりあえず魔法使いギルドに戻ってゾディアックさんに訊いて見ようかな。


俺はハンスさんが出してくれたお茶を飲み干してから魔法使いギルドに戻った。


もう、行ったり来たりで大変だな。


そして、魔法使いギルドに到着して受付にゾディアックさんは居るかと尋ねたら、現在出張で
ゴモラタウンに行っているとか。


んー、タイミングが悪いな、本当にさ。


じゃあ、スバルちゃんに訊きに行ってみるか?


いや、あの子はこの手の情報には疎そうだよな。


うん、やめておこう。


まあ、トリンドルたる魔法使いがどんなヤツだかは、会ってからのお楽しみだ。


とりあえずスカル姉さんに仕事で二日ばかり旅立つと言ってから出ようかな。




【つづく】
  • TOP
  • しおりを挟む
  • 作品推薦
  • お気に入り登録