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ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。

第314話【四日後の再出発】

あれやこれやで四日の月日があっという間に過ぎて行った。


俺はその間をイルミナルの町でブラブラしたり、ソドムタウンの町でダラダラしたりと、穀潰
しのように怠惰なまま時間を潰していた。


そして四日目の朝に俺はダースさんの鍛冶屋の前で、息子のルークさんを待っていた。


今日がダンジョンに再探索する日なのだ。


カッコンカッコンと金槌で焼けた鉄を叩くダースさんの仕事っぷりを見ながら俺は、オレンジ
ジュースをチビチビと飲んでいる。


「ダースのオヤジさん、なかなか上手いな~」


「何がだ?」


「鍛冶仕事だよ」


「そりゃあ二十年の腕前だからな」


「俺も今度、鍛冶屋スキルでも習得しようかな」


「いつでも訪ねて来い。弟子なら歓迎だ」


「いや、弟子入りなんてめんどいからいいわ。そこまで本気じゃあないぞ」


「そ、そうか……」


あれ……。


なんか金槌で焼けた鉄を叩く音が激しくなったぞ?


あれれ、怒ったかな~。


俺は屈みながら鉄を叩くダースオヤジの背後に近付くと耳元で言ってやった。


「怒った? 怒りましたぁ~~?」


「むきぃぃいいいい!!!」


ダースのオヤジがハンマーを振り回しながら俺を追い回す。


「ひゃひゃひゃ~~」


笑いながら逃げる俺。


「そんなハンマーが当たるか!!」


「くそぉぉおおお!!」


流石は元兵長だが、剣の腕がだいぶ鈍っていやがるな。


鍛冶職が向上したが剣技は衰えたか。


「死ね、ごぉらららあ!!」


「わっひゃひゃひゃ、とろいとろい~」


俺たちが追い駆けっこをしていると、鍛冶屋の奥からルークさんが出て来る。


「お父さん、アスランさんといつの間にそんなに仲良くなったのですか?」


「仲良くなってねーーよ!!」


怒鳴る父親。


うん、馬鹿息子だな。


すると大通りのほうから町の人の大声が聞こえて来る。


「ひ、姫様だーー!! 姫様が出たぞーー!!」


町の人々がドタドタと家の中に逃げて行く。


そしてバタバタと扉を閉めて静まり返った。


「逃げ足がお早いこと……」


町は君主の姫様を怖れて静まり返っていた。


ダースのオヤジも鍛冶屋の奥に逃げ込んで居なくなっている。


残ったのは俺とルークさんだけである。


しばらくすると少し先の大通りをレイラ姫様が、ボロボロのドレスと黒山羊頭を被って、トボ
トボと通り過ぎて行くのが見えた。


ルークさんが俺に言う。


「じゃあ僕たちも森の滝に向かいましょうか」


「はいよ──」


ルークさんの手には、木の棒が握られていた。


この前たしか俺を背後から襲った時に持っていた木の棒だよな。


「もしかして、お前の武器ってそれだけか?」


ルークさんは握っていた木の棒を見てから不思議そうに言う。


「はい、そうですが?」


うわー、いくらゴーレムマスターだからって木の棒だけとは不甲斐ないはなしだな……。


それはちょっと軽装すぎませんか?


防具も身に付けてないしさ。


ダンジョンを舐めてない?


舐めてるよね?


所詮は素人か……。


「これ、ダンジョンで見付けたマジックアイテムなんですよ」


「えっ、マジで?」


「はい、マジです」


「ちょっと貸してみそ」


「みそ?」


俺はルークさんから木の棒を受けとるとマジックアイテム鑑定をしてみた。


【マジックワンド+5。ストーンゴーレムが召喚できる。コントロール中のゴーレムの操作時間
超向上。コントロール中のゴーレムの攻撃力超向上。コントロール中のゴーレムの防御力超向
上。コントロール中のゴーレムの魔法防御力超向上】


なに、これ!?


神の棒か!!!!!


「何これ、プラス5ってなんだよ!! しかも全部超向上じゃんか!!」


「な、何って言われましても……」


「こんなスゲー棒っ切れ、どこで見付けたんだ!?」


「だからダンジョンで……」


マジか!!


マジですか!!


こんなスゲーマジックアイテムが眠ってるダンジョンなんですか!?


これから行くダンジョンって、もしかしてマジックアイテムの宝庫ですか!?


いやいやいやいや!!!


すげーーな!!


最初は魔女攻略のヒントがあればと思って首を突っ込んだけれど、早くも目的を忘れて大脱線
しそうだわ!!


これは絶対にダンジョンの場所が知りたくなったぞ!!


俺のハクスラスキルが爆発すれば、もっと凄いマジックアイテムがザックザックと出て来るん
じゃないのか!?


出てくるよね!?


出てきますよね!!


ダンジョンはレイラ姫様が居ないと入れないみたいなことを言ってたけれど、場所さえ分かれ
ばどうにでもなる。


今日は大人しくレイラ姫様に媚を売って気に入られ、ダンジョンに連れて行ってもらおう。


あとは場所さえ分かればこっちのものよ!!


そのダンジョンを別の日に俺一人で漁り回ってマジックアイテムを一人占めじゃい!!


そーーだよ!!


そーーーなんだよ!!


戦力アップだ!!


スゲーマジックアイテムがバンバン出てこえば、それで俺の戦力が上がるはずだ。


俺の戦力が上がれば魔女だって倒せるはずだ。


そうしたらダンジョンで呪いを解かなくったって、魔女を倒せるじゃな~~い!!


そう、戦力アップで解決だ!!


よし、俄然やる気が沸いて来たぞ!!


よーーし、俄然低姿勢でレイラ姫様に媚を売る気が沸いてきたわい!!


もうプライドもへったくれもありゃしねえわ!!


「うし、ルークさん、早く俺たちも森に行こう!!」


俺はルークさんを急かした。


「は、はい……」


俺はスキップしながら町を出る。


「ルンルンルンだぜ!!」


久しぶりにマジックアイテムを大漁ゲットできるチャンスだぜ!!


しかも高品質のマジックアイテムおだ!!


こうして俺とルークさんが森の滝に到着すると、黒山羊頭を被ったレイラ姫様が待っていた。


「ぐるるるる………」


あー、俺を見て野性的に唸ってますよ。


めっちゃ、警戒されていますわ。


この前のことを覚えているのね。


説得できるかな?


同行を許してくれるかな?


やべ、見えない剣を振りかぶりながら、こっちに近付いて来るよ……。


やっぱ、駄目かな~……。


「レイラ、やめてくれ!!」


おお、ルークさんが俺の前に立ってくれたよ!!


「この人は仲間だ。僕らはパーティーを組むんだよ!!」


「パーティー?」


あ、止まった。


お姫様が止まってくれたぞ。


意外と話を聞いてくれるのかな。


俺はルークさんの背後から顔を出すとレイラ姫様に挨拶を飛ばした。


「どーーも、この度パーティーに加えてもらいますアスランでーーす。よ、ろ、し、く、ね♡」


「がるるるっ!!!」


「ひぃ!?」


やっぱり俺には牙を剥くのね、このお姫様は!!




【つづく】
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